取引先の与信確認、転職先の企業調査、営業リストの精査。企業を調べる場面はさまざまですが、口コミサイトの情報だけでは判断材料として不十分です。会社が本当に実在するのか、財務状況はどうか、行政処分を受けていないか、こうした事実は、政府・公的機関が無料で公開しているデータベースで誰でも確認できます。
このページでは、Bizscope編集部が企業紹介記事を作成する際に実際に使用している無料データベースを、「何が分かるか」「いつ使うか」「どう確認するか」まで含めて解説します。調べたいことから探せる早見表と、初めての方向けの5ステップ手順も用意しました。
最終更新日:2026年8月7日
調べたいことから探す|目的別早見表
「どの役所が管轄か」より先に、「自分は何を知りたいのか」から探してください。
| 調べたいこと | 使うデータベース | 費用 |
|---|---|---|
| 会社が実在するか確認したい | 国税庁 法人番号公表サイト | 無料 |
| 正式な商号・本店所在地を知りたい | 国税庁 法人番号公表サイト | 無料 |
| 登記情報(役員・資本金)を確認したい | 法務省 登記情報提供サービス | 有料(332円〜) |
| 財務情報・売上・利益を見たい | 金融庁 EDINET | 無料 |
| 上場企業かどうか確認したい | JPX 上場会社情報サービス | 無料 |
| 従業員数・平均年収を知りたい | 金融庁 EDINET(有価証券報告書) | 無料 |
| 補助金の受給実績・届出情報を見たい | 経済産業省 gBizINFO | 無料 |
| 労働関係の法令違反がないか調べたい | 厚生労働省 労働基準関係法令違反に係る公表事案 | 無料 |
| 建設業の許可を確認したい | 国土交通省 建設業者・宅建業者等企業情報検索システム | 無料 |
| 宅建業の免許を確認したい | 国土交通省 建設業者・宅建業者等企業情報検索システム | 無料 |
| 特許・商標を持っているか調べたい | 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat) | 無料 |
| 職場環境・育休取得率を知りたい | 厚生労働省 職場情報総合サイト(しょくばらぼ) | 無料 |
| 倒産・解散の公告を確認したい | インターネット官報 | 無料 |
はじめての企業調査|5ステップ
何から手をつければいいか分からない場合は、この順番で進めてください。ステップ1と2だけでも、企業の基本的な信頼性は確認できます。
STEP1:実在性を確認する(所要5分)
使うもの:国税庁 法人番号公表サイト
まず会社が法人として実在するかを確認します。商号・本店所在地・法人番号の3つが分かります。求人票や名刺に書かれた会社名・住所と一致するかを照合してください。ここで見つからない、または住所が違う場合は、屋号と法人名が異なるケースか、情報が古い可能性があります。
STEP2:法人番号で横断検索する(所要10分)
使うもの:経済産業省 gBizINFO
STEP1で調べた法人番号を使って、gBizINFOで検索します。法人番号をキーに各省庁のデータが紐づいているため、従業員数・補助金受給歴・届出情報などをまとめて確認できます。会社名で検索すると同名企業が出るため、法人番号で検索するのが確実です。
STEP3:財務情報を見る(所要15分)
使うもの:金融庁 EDINET
上場企業および有価証券報告書の提出義務がある企業なら、EDINETで財務情報を確認できます。売上高・利益・従業員数・平均年収・平均勤続年数まで記載されています。非上場企業は提出義務がないため掲載されていません。その場合はインターネット官報の決算公告を確認する方法もありますが、掲載していない企業も多いのが実情です。
STEP4:法令違反の有無を確認する(所要10分)
使うもの:厚生労働省の公表事案・各省庁の行政処分情報
労働基準関係法令に違反して送検された企業は厚生労働省が公表しています。また業種によっては、国土交通省・金融庁などが行政処分を公表しています。転職先・取引先を検討する際は必ず確認しておきたい項目です。
STEP5:業種固有の情報を調べる(所要15分)
使うもの:業種別の許認可データベース・J-PlatPat
建設業なら建設業許可、不動産なら宅建業免許、人材紹介なら職業紹介事業許可というように、業種ごとに必要な許認可があります。許可番号が公表情報と一致するかを確認してください。技術系企業なら特許・商標の保有状況(J-PlatPat)も、事業の実態を知る手がかりになります。
企業調査に使える無料データベース一覧
国税庁|法人番号公表サイト
| 何が分かる | 法人番号・商号または名称・本店または主たる事務所の所在地(基本3情報)。商号や所在地の変更履歴も確認できる |
| いつ使う | 調査の最初。会社の実在性と正式名称を確認するとき |
| 確認手順 | ①会社名で検索 → ②所在地で同名企業と区別 → ③法人番号を控える → ④変更履歴で移転・商号変更の有無を確認 |
| 注意点 | 登記されている情報のみ。事業の実態や信用度は分からない |
経済産業省|gBizINFO(Gビズインフォ)
| 何が分かる | 政府が保有する法人データを法人番号ごとに紐付けて公開。従業員数・資本金・補助金受給歴・届出情報・調達実績など |
| いつ使う | 法人番号を調べた後、各省庁のデータをまとめて確認したいとき |
| 確認手順 | ①法人番号または法人名で検索 → ②基本情報タブで従業員数・資本金を確認 → ③補助金・調達タブで公的な取引実績を確認 |
| 注意点 | 従業員数などのデータは提出元・集計時点によって数字が異なる場合がある。他の情報源と照合することを推奨 |
金融庁|EDINET(有価証券報告書等の開示書類)
| 何が分かる | 有価証券報告書・四半期報告書・大量保有報告書など。売上高・利益・従業員数・平均年収・平均勤続年数・平均年齢まで記載 |
| いつ使う | 上場企業の財務状況や待遇の実態を客観的な数字で知りたいとき |
| 確認手順 | ①書類検索で会社名を入力 → ②有価証券報告書を選択 → ③「従業員の状況」で平均年収・平均勤続年数を確認 → ④「経理の状況」で財務諸表を確認 |
| 注意点 | 提出義務のない非上場企業は掲載されていない。平均年収は全社平均のため職種別の実態とは異なる |
法務省|登記情報提供サービス
| 何が分かる | 登記事項(商号・本店・役員・資本金・目的・設立年月日など)の全内容 |
| いつ使う | 役員構成・資本金の推移・事業目的まで正確に確認する必要があるとき |
| 確認手順 | ①利用登録(個人利用は一時利用も可) → ②商号・所在地で検索 → ③登記情報を請求 → ④PDFで閲覧 |
| 注意点 | このサービスのみ有料(登記情報1件332円〜/2026年時点)。閲覧のみで証明書としての効力はない |
厚生労働省|職場情報総合サイト(しょくばらぼ)
| 何が分かる | 平均勤続年数・有給取得率・育児休業取得率・研修制度・月平均残業時間など職場環境に関する情報 |
| いつ使う | 転職先の労働環境を数字で確認したいとき。口コミの主観的な評価を客観データで裏付けたいとき |
| 確認手順 | ①企業名で検索 → ②「女性活躍」「若者雇用」などの区分ごとに公表データを確認 → ③口コミサイトの情報と照合 |
| 注意点 | 企業の任意公表のため掲載されていない企業も多い。データの基準日を必ず確認する |
JPX|上場会社情報サービス
| 何が分かる | 上場市場区分(プライム・スタンダード・グロース・TOKYO PRO Market)・証券コード・決算情報・適時開示情報 |
| いつ使う | 「上場企業」という表記の実態を確認したいとき。市場区分によって上場審査基準と開示要件が異なる |
| 確認手順 | ①会社名または証券コードで検索 → ②市場区分を確認 → ③適時開示情報で直近の重要事項をチェック |
| 注意点 | TOKYO PRO Marketはプロ投資家向けの市場で、一般市場より開示要件が緩やか。「上場企業」と一括りにせず市場区分まで確認したい |
国土交通省|建設業者・宅建業者等企業情報検索システム
| 何が分かる | 建設業許可・宅地建物取引業免許の有無、許可番号、許可の種類、行政処分歴 |
| いつ使う | 建設・不動産関連の企業と取引する前。リフォーム・不動産投資の相手先を確認するとき |
| 確認手順 | ①業種を選択 → ②商号または許可番号で検索 → ③許可の有効期限と種類を確認 → ④行政処分歴の有無を確認 |
| 注意点 | 許可の有無と工事品質は別問題。許可があることは最低条件であって十分条件ではない |
特許庁|特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
| 何が分かる | 特許・実用新案・意匠・商標の出願状況と登録状況 |
| いつ使う | 技術系企業の開発力を知りたいとき。ブランド名やサービス名の商標登録状況を確認したいとき |
| 確認手順 | ①「特許・実用新案検索」または「商標検索」を選択 → ②出願人/権利者名に企業名を入力 → ③出願年別の件数から開発活動の推移を把握 |
| 注意点 | 出願件数の多さが技術力の高さを直接意味するわけではない。業種によって特許戦略は大きく異なる |
内閣府|インターネット官報
| 何が分かる | 決算公告・合併公告・解散公告・破産手続開始の公告など |
| いつ使う | 非上場企業の財務情報を探すとき。倒産・解散の有無を確認するとき |
| 確認手順 | ①検索画面で企業名を入力 → ②公告の種類を確認 → ③決算公告があれば貸借対照表の要旨を確認 |
| 注意点 | 決算公告は法律上の義務だが、実際には公告していない中小企業が非常に多い。掲載がないこと自体は問題を意味しない |
調査時によくある失敗と対処法
| よくある失敗 | なぜ起きるか | 対処法 |
|---|---|---|
| 同名の別会社を調べてしまう | 「株式会社○○」という同名法人は珍しくない。中黒(・)の有無だけが違うケースもある | 法人番号で特定する。所在地と業種で必ず照合する |
| 従業員数の数字が情報源で食い違う | 集計時点・集計対象(正社員のみ/パート含む/連結/単体)が異なる | 基準日と集計範囲を確認し、同じ条件で比較する |
| 古い所在地で調べている | 本店移転後もデータベースの更新が追いついていない場合がある | 法人番号公表サイトの変更履歴を確認する |
| 「上場企業」を一括りにしてしまう | プライムとTOKYO PRO Marketでは上場審査基準と開示要件が大きく異なる | JPXで市場区分まで確認する |
| 公的DBに載っていない=問題ありと考える | 非上場企業はEDINETに掲載されず、決算公告も未実施の企業が多い | 掲載の有無と企業の健全性は別問題と理解する |
| 平均年収を自分に当てはめる | 有価証券報告書の平均年収は全社平均。職種・雇用区分による差が大きい | 職種別のデータや口コミと組み合わせて判断する |
よくある質問(Q&A)
Q. 全部無料で調べられますか?
登記情報提供サービス(1件332円〜)を除き、本ページで紹介しているデータベースはすべて無料で利用できます。法人番号公表サイト・gBizINFO・EDINET・J-PlatPat・インターネット官報はいずれも登録不要または無料登録で利用可能です。
Q. 非上場企業の財務情報は調べられますか?
限定的です。非上場企業には有価証券報告書の提出義務がないため、EDINETには掲載されていません。インターネット官報の決算公告で確認できる場合もありますが、公告していない企業が多いのが実情です。より詳しい財務情報が必要な場合は、帝国データバンク・東京商工リサーチなどの有料サービスを検討してください。
Q. 転職前に最低限どこを見ればいいですか?
時間が限られている場合は3つに絞ってください。①法人番号公表サイト(実在性と正式名称)、②しょくばらぼ(有給取得率・育休取得率・平均勤続年数)、③厚生労働省の労働基準関係法令違反の公表事案。この3つで15〜20分程度です。上場企業ならEDINETで平均年収と平均勤続年数も確認しておきたいところです。
Q. 公的データベースと口コミサイト、どちらを信じるべきですか?
どちらか一方ではなく、役割が違うと考えてください。公的データベースは「事実」を確認するもの(実在性・財務・許認可・処分歴)、口コミサイトは「実感」を知るもの(職場の雰囲気・上司との関係・実際の残業感)です。たとえば有価証券報告書の平均年収510万円という数字と、口コミの「販売職は380万円台」という情報は、どちらも正しく、組み合わせて初めて実態が見えます。
Q. 調べた情報が古い場合はどうすればいいですか?
各データベースには必ず基準日・更新日が記載されています。まずそれを確認してください。所在地や商号が変わっている可能性がある場合は、法人番号公表サイトの変更履歴で移転・商号変更の記録を確認できます。最新情報は企業の公式サイトで照合するのが確実です。
Q. Bizscopeの記事ではこれらをどう使っていますか?
企業紹介記事の作成にあたり、会社概要は法人番号公表サイト・gBizINFO・公式サイトで確認し、上場企業は有価証券報告書の数字を優先しています。労働環境はしょくばらぼの公表データと口コミサイトの投稿を照合し、数字が食い違う場合はその事実も記事内に明記しています。口コミのみに依拠した記事を作らないことを編集方針としています。
Bizscope編集部の調査方針
Bizscopeでは企業紹介記事を作成する際、以下の順序で情報を確認しています。
| 順序 | 確認内容 | 主な情報源 |
|---|---|---|
| 1 | 会社の実在性・正式名称・所在地 | 国税庁 法人番号公表サイト・公式サイト |
| 2 | 事業内容・従業員数・資本金 | 公式サイト・gBizINFO・有価証券報告書 |
| 3 | 財務状況・平均年収・平均勤続年数 | 金融庁 EDINET(上場企業の場合) |
| 4 | 労働環境の客観データ | 厚生労働省 しょくばらぼ |
| 5 | 行政処分・法令違反の有無 | 各省庁の公表情報 |
| 6 | 社員・利用者の実感 | 複数の口コミサイト(件数と確認日を明記) |
複数の情報源で数字が食い違う場合は、どちらかを採用するのではなく「食い違いがある事実」を記事に明記しています。読者が自分で判断するための材料を提供することを目的としているためです。
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